わたしたちが死にたかった夜にも、きっと意味はあったんだ───。
わたしが「私」を消す日
どんなに愛を求めても、それは簡単に手に入れられるほど上手く出来てはいない。この手を伸ばして求めようとすればするだけ、私が欲しかった“愛”はどんどん遠のいてどこか遠くへと行ってしまう。
わたしは、ただ、誰かに愛されたかっただけなのに。誰かに見つけてほしくて、こんなわたしを受け入れてくれる、そんな誰かに救われたかっただけなのに……。
愛とは、欲するものではなくて与えられるもの───。愛をもらえる人間は、それに相応しい人でないといけないし、それにわたしのような生きていても何の価値もないつまらない人間に、それは一生手に入らないものだと。思っていた───。
………あの日、までは。
***
「ねーねー、今日の英語のプリント見せて〜」
「やば、私も終わってなかった‼︎誰か終わってる人いないかな⁉︎絶対鬼北に怒られるー!」
「えー、それだけは絶対にやだあ」
こういうクラスメイトの言葉に、気軽に「わたしそれ終わってるから見せれるよ」と言えなくなったのは、一体何年前からだろう。いつの間にかわたしをとりまく環境や周囲が目まぐるしく変わっていき、気付けばわたしは 一人になってしまっていた。
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