わたしたちが死にたかった夜にも、きっと意味はあったんだ───。


「柚葉、今から俺が話すことを聞いて欲しい。これを話すことで柚葉が記憶を取り戻すとは限らないけど、聞いて欲しいんだ」

「……うんっ」


 不安そうな顔をしている柚葉の頬に優しく手を添えて微笑んだ。


***


 俺と柚葉は、柚葉が生まれた時から家が近くで、柚葉が成長して外で遊べるようになってからは毎日この公園で遊んでいた。

 本当の兄妹のように仲が良くて、俺と柚葉は近所に住んでいる沢山の人たちから愛されて育ってきた。柚葉のお父さんはもうその頃には亡くなってしまっていたけれど、ずっと柚葉を見ていた俺は知っている。

 柚葉のお父さんは生前、本当に我が子を愛して、とても可愛がっていたということ。そして柚葉のお母さんも、昔はとても優しい人だったのだ。

 柚葉がツイッターで俺に呟いてくれたことを読みながら、正直信じられない気持ちでいっぱいだった。だけど悲しいことに、それは本当のことなのだろうと、受け入れることが出来た。

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