交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
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布団の外に投げ出された手を握って、一織さんの顔を眺める。彼がここに来てからもう何時間もこうしている。
ちなみにここは完全個室のVIPルームで、ソファにテーブル、シャワールームや簡易的なキッチンまでついている。新田さんは缶コーヒー片手にソファで寛いでいるようだ。
すると、ぴくりと握っていた手が微かに動いた。
「一織さん?」
ゆっくりと瞼が開かれ、ぱちぱちと瞬きをする。
「一織さん! 分かりますか? 今、先生呼びますから…!」
私は安堵で崩れ落ちそうになるのを堪え、枕元のナースコールに手を伸ばす。
「小梅…」
掠れた声で紡がれた私の名前。目に涙が溜まって、瞬きしたら止まらなくなるのは分かっていた。