交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~



丸山商事副社長による一件は深山グループ上層部で大きな話題となった。
丸山麗奈と二人の男は警察による聴取を受け、その後のことは私は知らない。会社としての取引は即刻取りやめになったが、事を荒立てるのは深山グループにとっても大きな労力を費やすことになるため内々に処理が進められたそう。だから、詳細を知らない社員たちの間には色んな憶測が飛び交った。

一織さんが丸山麗奈と不倫関係にあったとか、暴力団関係者と繋がりがあったとか、言われのない噂は本人の耳にも届いているだろう。

でも、一織さんは私に心配させまいと何も言わないから余計に心配していた私にそれを教えてくれたのは新田さんだ。

『事実無根のただの噂に過ぎないし、むしろあいつは、社長としての手腕と信頼を改めて見せつけるチャンスにすらするだろ』

新田さんの言葉には妙に説得力がある。一織さんが入院している間の会社での穴埋めは彼が一任されているらしく、病院で会うと私のことまで気遣ってくれた。

一織さんも気を許している相手なのが見ていてよく分かるし、新田さんの言葉と一織さんを信じて私は彼が気を休められる場所を提供しようと思う。

昨日から仕事にも復帰した一織さんが帰ってきた時に、暖かい食事と笑顔で迎える。
彼はそれだけのことでもふわりと優しく笑みを返してくれるから、何気ない日常が大切に思える。
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