交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~



「い、いいい今なんて!?」

平日のランチタイム、務めているクリニックにほど近いイタリアンのお店に、筧さんの悲鳴にも似たリアクションが響く。

「だから、夫を誘惑する方法を教えてほしいんです!」

「こ、小梅ちゃん?? どうしたの、何かあった…?」

そ、そんなに変なこと聞いたかな…?
私は小声で筧さんに相談をもちかけた経緯を話す。

「…まぁまぁ、それはまた、紳士な旦那さんなのね。でも、小梅ちゃんにはそれが物足りない、と」

なんだか随分と大胆な女だと思われている気がするけれど…うん、まぁ細かいことはいいか。
結婚6年目を迎えた今でも旦那さんと仲が良い筧さんなら、何かアドバイスをもらえると思うんだよね。

「そうだなぁ、やっぱりまずは、下着とパジャマじゃない? ほら、際どいやつよ」

「き、際どい…って、た、例えばどんな…?」

私が身を乗り出して聞くので、筧さんがあははと笑って言う。

「じゃあ今日、仕事が終わったら調達しに行っちゃう? 際どいやつ〜」

「い、行きたいです…!」

形から入るのも大事なんだ。そりゃそうだよね。見た目で良い女だと思ってもらうのは大事だ、きっと。

一織さんが帰ってくるのは私よりも遅いけれど、一応その場で帰りがいつもより遅くなることを連絡して、退勤後、筧さんとプチショッピングに出かけた。

そこで、筧さんに勧められた下着を購入したのだけれど……これを、わざとはだけさせてアピールしなければならない。
< 70 / 119 >

この作品をシェア

pagetop