冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「あれ?社長のデスクは…?それに影沼さんのデスクも…」

茉白がLOSKAに出社すると、社内の雰囲気がいつもと違っていた。
茉白が莉子に聞くと、莉子は商談ルームを指さした。

「あそこが昨日から社長室兼営業部長室です。」
莉子は冷めた口調で言う。

「え…」


「どういうつもりですか!?なんで社長室なんて…」
茉白は社長室となった商談ルームに入るなり、縞太郎に詰め寄った。

「社員とフラットに接したいって、今まで社長室は作らなかったのに—」

「それが良くないからですよ。」

同じ部屋にデスクを構えた影沼が言った。

「LOSKAは社長と社員が近すぎる。それがお互いの甘えにつながるんです。」

「甘えなんてそんな…」

「茉白さん、あなたもですよ。営業部主任なら、もっと部下には厳しく接するべきだ。」
影沼が厳しい口調で言った。

「営業は数字が全てです。馴れ合いはいりません、あなたのそういうところがLOSKAを弱くするんです。」

「……社長も…同じ意見ですか?」
茉白は縞太郎の方を見た。

「…同じだ。影沼部長の意見は正しい。」


「……将来…」
茉白はポツリと言った。


「LOSKAは影沼さんが継ぐの…?」

茉白の質問に、縞太郎はしばらく沈黙して口を開いた。
「…このままいけば、そうなるだろうな。」

(………)

「…そうですか…」

「茉白さんが結婚を決めれば、あなたの夫が継ぐんですよ。事実として業績も伸びているし、LOSKAの名前は消えずに済みます。早く覚悟を決めてくだい。」

茉白は苛立ちを見せるような影沼の言葉に、また何も言えなかった。


(LOSKAのための結婚って、そういうことだってわかってたはずじゃない…)
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