冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「それにしても…昨日の今日、それもこんな早朝によくこれだけ資料を追加できましたね。」
米良が言った。

「あ…もともと調べなくちゃって思ってた内容と、調べるのが好きなのもあって…楽しくなっちゃってほぼ徹夜で…」
茉白は気まずそうに笑って言った。

「なんでそんなに頑張んの?昨日の資料があれば俺のオーダーには事足りただろ?」
遙斗が聞いた。

「………」

先程までは質問に即答していた茉白が一瞬言葉を詰まらせた。

「あー…えっと、さっきも言った通り、商品一つ一つにたくさんの人が関わってくれているし…私は雑貨が大好きなので。」

その言葉に嘘は無かったが、茉白の気持ちの全てでも無かった。

「…ふーん。」


「今回のポーチは仕入れるけど、それはあくまで今回の話なんで。今回の商品の売れ行きは細かくチェックして各社比較する。それで売れ行きが悪ければ切って行く。」

「はい。」

遙斗の言葉は冷たいようだが当たり前のことだ。

シャルドン(うち)でのLOSKAの過去の商品の売り上げデータも見たけど、地味ながらも確実に売れてるな。ECサイトのレビューなんかで見たら固定のファンもいるようだし。」

(地味…。っていうか、忙しいのに昨日あれから見てくれたんだ…。)

「プロモーションが下手なようだから、もっとSNSなんかも活用して商品の良さをアピールした方が良いんじゃないか?」

「あー…SNSのアカウントはあるんですけど…」
「けど?」

「TwittyもInstagraphもフォロワー1桁です…専ら調べものに使ってるだけって感じで…」
茉白は恥ずかしそうに言った。

「無いのと同じだな…」
遙斗はまた呆れた顔をした。

「これからきちんと発信していけばフォロワーも増えると思いますよ。」
米良がすかさずフォローを入れる。

「ありがとうございます。頑張ります!」

茉白が米良にニッコリ微笑むと、一瞬遙斗の目元に苛立ちが浮かんだ。
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