冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました

第10話 莉子のレクチャー

それから何度かLOSKA社内や遙斗たち、そしてハンカチの縫製工場と打ち合わせを重ね、ハンカチも無事に形になった。

シャルドンエトワール・物流倉庫
シャルドン本社のほど近くに、シャルドンの商品在庫を保管する大きな倉庫がある。
この日、茉白は朝からポーチとハンカチの納品の立ち会いにここを訪れていた。

「茉白さんがわざわざ来てくれたんですね。」

「米良さん!こんにちは。」

商品の段ボールの数を数える茉白に米良が話しかけた。

「数も多いし、OEMのハンカチもあるので自分で見届けておきたくて。米良さんこそわざわざ見に来てくれたんですか?」
茉白が笑って言った。

「遙斗も会えれば良かったんですけど、あいにく社長と打ち合わせ中で。」

「そんな、お忙しいのに弊社なんかに…大丈夫です!」
(社長さん…雪村専務のお父さん。雲の上のさらに上の人!)
茉白は恐縮して言った。

「ジッパーバッグも作れたら良かったんですけど、やっぱりロットが大きかったですね。」

「そうですね、茉白さんの言う通りでした。さすがですね。ところで…」

「はい?」

「SNSの方の調子はどうですか?」
米良の言葉に茉白はギクッとする。

「……私、ああいうの向いてないみたいで…」


その日の午後

———プルル…

茉白のスマホには【雪村 遙斗】と表示されている。
遙斗からは何度か仕事の要件のみのあっさりとした電話が来たことがあるが、茉白はその度に緊張していた。
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