冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
商談の帰り道

茉白の心は、来たときとはまた違う感情で喉の奥を締め付けられるような息苦しさを感じていた。

(今回は米良さんの婚約者だったけど…雪村専務だってそう遠くない未来に結婚しちゃうんだろうな。)

(リリーさんみたいなアパレル系のお嬢様とか…化粧品大手のご令嬢とか…由緒正しき家柄の人とか…)

——— 俺は別に雲の上の人間なんかじゃなくて…

茉白は遙斗の言葉を思い出して、首を横に振った。

(雪村専務がそう思ってても、周りがそんな風に思ってないもん…)

(憧れるのはOKだけど、本気で好きになったらダメ…)

先程の遙斗の笑顔を思い出して、(むね)がキュ…と切ない音を立てる。


1週間後
株式会社LOSKA

「え、コラボ…?」

茉白は縞太郎に呼び出されていた。

「ああ。茉白がこの前パーティーで名刺交換してきてくれたAmselさんが、雑貨店でうちのポーチやミラーと向こうのコスメ用品を一緒にコーナー展開する企画をしないかって声をかけてくれてね。」

「あ、えっとたしか影沼さん…?」

「うん。影沼常務がとても熱心なんだ。」
縞太郎はニコニコとした顔で言った。

「…でも、お互いよく知らないメーカー同士で店頭展開だけコラボしても、商品がチグハグになっちゃうんじゃない…?」

「なんでも前々からうちの商品を店頭で見てファンでいてくれたそうだよ。」

「そうだったの?」

(…?パーティーのときはそんなこと言ってなかったけど…)
茉白はパーティーの日のやり取りを思い返した。
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