冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
茉白は影沼の車の助手席に乗り込んだ。
影沼の車も常務というだけあって高級車だ。

「何が良いですか?近くに三つ星フレンチがあるみたいですけど…」

「あの、こんな服装なので…全然普通の居酒屋とかでいいですよ。」

「そういうわけにはいかないでしょ。」
影沼は笑った。

(こんな急に、あんまり堅苦しいお店に行きたくないなぁ…)
茉白も一応社長の娘という立場なので、高級店での会食の機会も普通よりは多くそれなりに慣れてはいるが、茉白自身はそういう店を好んではいない。

茉白は遙斗と米良と初めて食事に行ったときのことを思い出した。
(あの時、もしかして私が緊張してたから普通のお店に行ってくれたのかな…。)
なんとなく遙斗はそういう気の回し方をしそうな気がした。

「じゃあ、カジュアル目なイタリアンにしましょうか。」

「あ、はい。じゃあそこでお願いします。」


影沼に連れてこられたのは、カジュアルとは言ってもデートに向いていそうな比較的高めの価格帯の店だった。

「私も子どもの頃から自社製品のサンプルをよく渡されましたよ。コスメがメインなんで中学生の頃からはクラスの女子に配ったりもしてました。」

「私も友だちに配ってました。あるあるですね〜!」

お互いにメーカーの社長の息子・娘ということで、食事が始まると共通の話題で盛り上がった。

話の流れで影沼は現在36歳、独身ということがわかった。
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