冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました

第18話 わかっちゃいました

声の主は影沼だった。

「ご無沙汰しております、Amselの影沼です。」

「………」
遙斗が(いぶか)しんでいる表情を見て、茉白はここがLOSKAのブースだということを思い出した。

「あの、雪村専務、今回弊社はAmselさんと共同で出展しているのでお互いのブースを自由に行き来できるんです。」
茉白がフォローを入れた。

「共同?」

「はい、Amselさんから—」
「茉白さんのお父様と懇意にさせていただいていまして。お互いの苦手分野を補い合うために一緒に出展したんです。」
影沼が茉白に被せるように言ったので、茉白は若干困惑した表情を見せた。

そんな茉白を見て、遙斗は小さく溜息を()いた。

「ところで雪村専務、弊社のことは覚えていらっしゃいますか?コスメ部門を見ていらしたときに—」

「ああ、覚えてますよ。」

「では是非うちの方にも—」
「申し訳ないですが、LOSKAさんの商品説明を受けている最中ですし、私はコスメからは離れたので。」

「本日は時間も限られておりますので。」
遙斗が断ると、米良も付け足すように言った。
影沼は渋々という表情でAmsel側に戻って行った。

「社長がAmselと懇意にしてるって?」
影沼がいなくなると、遙斗が茉白に聞いた。

「はい。あのパーティーで私が名刺交換して知り合って。父に繋いだらそこからよく連絡を取ってるみたいで…。」

「仕事では何かあった?」

「えっと、店頭のコーナー展開を一緒にやるとか、今日の展示会くらいです。」

「ふーん…」

「………?」
茉白には遙斗の質問の意図がよくわからなかった。
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