不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
友人を作って恋愛相談をするよりも、当たって砕けるほうがよっぽど手っ取り早いじゃないか。
そこまで考えて自分がフラれる前提で想像していることに気が付き、嘆息した。

恋愛はいつも片思いで終わってきたから、ついネガティブな考え方になってしまう。
そんな風に考えているからこそ、実らないかもしれないのに。

私は居住まいを正して考え直した。
最近の私は調子がいい。

それもこれも不穏ラジオのおかげだけれど、きっと私自身にも変化があったはずだ。
たとえば相手の弱みを握ってそれを利用するとか、そんなことは絶対に考えつかないことだった。

今までの私なら誰かの弱みを知ったって、それを利用しようなんて考えることもなかったはずだ。
ただ見て見ぬふりをして、できるだけ波風の立たない生活を維持していただろう。

それが、今は違う。
今までしてこなかったことをしているんだから、それは自信として捉えていいはずだ。

私は真面目に授業を聞いている正広へ視線を向ける。
この胸の高鳴りはどうしたって消えるものじゃないと思う。

たとえ断られたとしても、気持ちを伝えるまでは。
私はゴクリと唾を飲みこんで、黒板へ視線を戻したのだった。
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