冷徹御曹司は想い続けた傷心部下を激愛で囲って離さない
「彼氏に裏切られたら、臆病にもなるって! ほんと野々上のヤツ、あさひになんてことしてくれんのよ……!」
「絵美、音量落として」
「はっ、つい熱くなったわ」
「ありがと、絵美」
「ううん。でもぶっちゃけ、如月さんにはいちばんみっともないところを見せちゃったんでしょ? それでも幻滅せずに誘ってくれたんだから、思い切って飛びこんでみてもいいと思うよ。ってか如月さんって、たしか前にどこかで……」
「なに?」
「ううん、なんでもなーい」
絵美がぬるくなったウーロンハイを一気に飲み干す。気を取り直すように、冷めた料理に猛然と口をつけ始めた。
「とにかく、一度OKしたのに連絡しないのは命令違反になるわよ」
「うっ……だよね」
「そそ、業務なんだから考えるだけ無駄。さっさと連絡しなさい」
「そうする」
絵美の言うとおり業務だと思えば、あんがい簡単な気がする。
凌士は業務命令ではないと言ったけれど、そちらのほうがよほどハードルが高い。
絵美が仕切り直しだと言わんばかりに、ウーロンハイのグラスをあおる。
「よし、今日もやっぱりとことん飲む!? その勢いで連絡しちゃえばいいのよ」
「ダメ、今日は飲まないから! しばらくは禁酒!」
あさひは指先でバツを作りつつ、明日こそ凌士に連絡する、と決意した。
翌日の定時三十分前。朝から機会をうかがっていたあさひは、外出するらしい凌士を追いかけてエレベーターに駆けこんだ。 連絡しないまま日が経ってしまったので、せめて直接伝えようと思ったのだ。
ところが、勢いのままエレベーターに乗ったあさひは、ふたりきりだと気づくなりうろたえた。心臓が騒ぐ。これ以上ないチャンスだというのに。
「お……お疲れさまです。ご出張ですか?」
「ああ。京都に泊まりだ」
見れば、凌士はビジネスバッグのほかに、着替えのスーツを入れたガーメントケースを手にしている。
社長令息といえどもほかの社員と変わらないのだと、あさひは妙に感心してしまった。と同時に、仕事の邪魔になるかと話を切りだすのを思い直したとき、凌士と目が合った。
「次の場所は決めたか?」
あさひは絵美の言葉を思い出し、思いきって打ち明けた。
「すみません、実はまだです。どう振る舞うべきなのか迷って……昨日やっと、まずは連絡しようと決めたところでした」
「断りかたを考えていたのか」
「絵美、音量落として」
「はっ、つい熱くなったわ」
「ありがと、絵美」
「ううん。でもぶっちゃけ、如月さんにはいちばんみっともないところを見せちゃったんでしょ? それでも幻滅せずに誘ってくれたんだから、思い切って飛びこんでみてもいいと思うよ。ってか如月さんって、たしか前にどこかで……」
「なに?」
「ううん、なんでもなーい」
絵美がぬるくなったウーロンハイを一気に飲み干す。気を取り直すように、冷めた料理に猛然と口をつけ始めた。
「とにかく、一度OKしたのに連絡しないのは命令違反になるわよ」
「うっ……だよね」
「そそ、業務なんだから考えるだけ無駄。さっさと連絡しなさい」
「そうする」
絵美の言うとおり業務だと思えば、あんがい簡単な気がする。
凌士は業務命令ではないと言ったけれど、そちらのほうがよほどハードルが高い。
絵美が仕切り直しだと言わんばかりに、ウーロンハイのグラスをあおる。
「よし、今日もやっぱりとことん飲む!? その勢いで連絡しちゃえばいいのよ」
「ダメ、今日は飲まないから! しばらくは禁酒!」
あさひは指先でバツを作りつつ、明日こそ凌士に連絡する、と決意した。
翌日の定時三十分前。朝から機会をうかがっていたあさひは、外出するらしい凌士を追いかけてエレベーターに駆けこんだ。 連絡しないまま日が経ってしまったので、せめて直接伝えようと思ったのだ。
ところが、勢いのままエレベーターに乗ったあさひは、ふたりきりだと気づくなりうろたえた。心臓が騒ぐ。これ以上ないチャンスだというのに。
「お……お疲れさまです。ご出張ですか?」
「ああ。京都に泊まりだ」
見れば、凌士はビジネスバッグのほかに、着替えのスーツを入れたガーメントケースを手にしている。
社長令息といえどもほかの社員と変わらないのだと、あさひは妙に感心してしまった。と同時に、仕事の邪魔になるかと話を切りだすのを思い直したとき、凌士と目が合った。
「次の場所は決めたか?」
あさひは絵美の言葉を思い出し、思いきって打ち明けた。
「すみません、実はまだです。どう振る舞うべきなのか迷って……昨日やっと、まずは連絡しようと決めたところでした」
「断りかたを考えていたのか」