冷徹御曹司は想い続けた傷心部下を激愛で囲って離さない
真っ白に染まった意識に、やわらかな感触だけが刻みつけられていく。頭が痺れる。
あたたかな温もり。
わずかに甘い。
心臓が今にも破裂しそうに、派手な音を叩き始める。
(なんで凌士さんとキス……!?)
背筋がぞくりと震え、膝から力が抜けそうになる。
数秒にも満たないキスが終わる。幻かのように、凌士の唇が離れる。
「碓井は俺にもっと期待しろ。期待以上をやるから」
唇についた口紅を手の甲で拭い、凌士は最後に口紅の落ちたあさひに素早く二度目のキスをしてエレベーターを降りた。
「なに、今の……っ」
心がかき乱されて、収拾がつかない。
ただ頬も首筋も耳も、火がつきそうに火照っていく。
ひとりになったエレベーターの中で、あさひは呆然としたまま、ずるずると壁にもたれた。
*
生真面目で慎重すぎるきらいがあり、てきぱきと物事をこなすタイプではない。
しかし仕事はていねいで正確。目の前の仕事の意味を捉え、適切な対応ができる。
『——そしてこれがもっとも大事ですが、碓井は仕事相手を不快にさせることがありませんね』
以上が、碓井あさひの異動に際し、凌士が企画部長から受けた彼女の評だ。
それが事実であることは、この二ヶ月ほどで凌士もよく知るところとなった。
企画部長が凌士に提出する資料は複数のチーフの手によるものだが、あさひが作成したものは一目でわかる。要点がすっきりと整理され、伝えたいポイントがわかりやすいのだ。
部下への指示に躊躇する様子はうかがえるが、これは若くして昇進すれば誰もが通る道だ。やっかみまじりの反発に対しては、成果をもって納得させるしかない。
それでもあさひには、相手を立てて仕事をする姿勢がある。ぐいぐいと周りを引っ張る性格ではないが、部下の舵取りを誤ることはないと思われた。
(たった数年で、成長したな)
あたたかな温もり。
わずかに甘い。
心臓が今にも破裂しそうに、派手な音を叩き始める。
(なんで凌士さんとキス……!?)
背筋がぞくりと震え、膝から力が抜けそうになる。
数秒にも満たないキスが終わる。幻かのように、凌士の唇が離れる。
「碓井は俺にもっと期待しろ。期待以上をやるから」
唇についた口紅を手の甲で拭い、凌士は最後に口紅の落ちたあさひに素早く二度目のキスをしてエレベーターを降りた。
「なに、今の……っ」
心がかき乱されて、収拾がつかない。
ただ頬も首筋も耳も、火がつきそうに火照っていく。
ひとりになったエレベーターの中で、あさひは呆然としたまま、ずるずると壁にもたれた。
*
生真面目で慎重すぎるきらいがあり、てきぱきと物事をこなすタイプではない。
しかし仕事はていねいで正確。目の前の仕事の意味を捉え、適切な対応ができる。
『——そしてこれがもっとも大事ですが、碓井は仕事相手を不快にさせることがありませんね』
以上が、碓井あさひの異動に際し、凌士が企画部長から受けた彼女の評だ。
それが事実であることは、この二ヶ月ほどで凌士もよく知るところとなった。
企画部長が凌士に提出する資料は複数のチーフの手によるものだが、あさひが作成したものは一目でわかる。要点がすっきりと整理され、伝えたいポイントがわかりやすいのだ。
部下への指示に躊躇する様子はうかがえるが、これは若くして昇進すれば誰もが通る道だ。やっかみまじりの反発に対しては、成果をもって納得させるしかない。
それでもあさひには、相手を立てて仕事をする姿勢がある。ぐいぐいと周りを引っ張る性格ではないが、部下の舵取りを誤ることはないと思われた。
(たった数年で、成長したな)