鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
 デビュタントを意識したパーティーも終わり、アークライト家からマニフィカ家へのメイドの派遣も終了した。
 しかし、たっぷり時間をかけて磨き上げた髪や肌は、今も美しく輝いている。
 美の追求より魔物狩りのマリアベルだったが、きれいになった自身の姿を見てからは、流石にちょっと身なりも気にするようになり。
 アーロンに贈られたケア用品を、メイドに教わったやり方で使い続けていたりもする。
 おかげで、マリアベルは妖精姫状態絶賛継続中だ。

 それでいて、婚約者もいないものだから、男子たちから熱烈なアピールを受けている。 
 アーロンの目には、今のところ、本人は異性からの好意には気が付いておらず、色恋にも興味がないように見える。
 だが、いつ、どんなタイミングでマリアベルが他の男と恋に落ちるかわからない。
 マリアベルの隣を歩き、にこやかに中庭に向かいながらも、アーロンは、

 ベルのこと、ぽっと出の男になんて、絶対渡したくないな……。
 そもそも、身なりを整えた途端に態度を変えすぎなんだよなあ。それで本当にベルのよさをわかっているつもりなのか?
 見た目だけにつられた奴に、ベルを取られてたまるか。
 
 なんてふうに、考えていた。
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