鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~
 一通り話し終えると、クラリスはマリアベルとコレットのほうへ戻っていく。
 笑い合う三人を見て、アーロンは小さくため息をついた。

――ベルが受け入れてるなら、まあいいか。

 大切な人を傷つけられたのだ。アーロンからすれば、まあ、ちょっとは思うところがある。
 けれどマリアベル本人が気にしていないし、彼女の魅力を知ってもらえたことは嬉しいし、友人が増えてよかったとも感じる。
 マリアベルの見た目だけに惹かれて群がる男たちよりも、クラリスのほうがマリアベルのよさを理解しているとも思える。
 アーロンにしてみれば、容姿しか見ていない男どもより、マリアベルの実力や人柄に惚れ込んだクラリスのほうが、「わかっている」存在であった。

 この感じなら、これから仲のいい女子も増えていくだろう。
 友人が欲しい、とマリアベルが意気込んでいたことを知るアーロンは、彼女を見守る姿勢になっていた。

――よかったね、ベル。
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