キケンな生徒指導
「えー、だって先生、授業でやってないこと出したじゃん」

「そうだよー!サルトルって何?サルカニ合戦じゃなくて?」

空調担当も馬鹿なら、クラスメイトも馬鹿揃い。

「あのなぁ…。サルトルとボーヴォワールの話は、授業の前にチラッと話したろ?最近、契約結婚のラブストーリーが流行りだって聞いたから、サービス問題のつもりだったのに、一人を除いて全員不正解とはガッカリしたよ、センセは」

先生は、わざとらしくガックリしてみせる。

「そりゃ、彼女はいつも本読んでるからねぇ?」

「サービス問題って、彼女へのサービスなんじゃない?」

先生には聞こえぬよう、それでいて、私には聞こえよがしに女子たちが言う。

こういう、体育の時だけ無駄に張り切るタイプは、偽サバサバ女の典型で大嫌いだ。

しかし、先生も、毎回必ず何の関係もない話をしてから授業に入るが、ネタとしては毎回滑っているから、さっさと授業に入ればいいのに…と、いつも思う。
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