キケンな生徒指導
まだ頭を抱えている先生に、

「じゃあ、これで失礼します」

そう言って、出ていこうとした時、思い切り腕を掴まれた。

「また、そういう乱暴をするなら…」

私は冷静にそう言いかけたが、どういうわけだろう?

今度は、先生の腕のなかに居た。

これでもかと言うほど、力いっぱい抱きしめられている。

しかし、そこに性的な嫌らしさは全く感じなかった。

先生が、殆ど泣きそうにまでなっているせいだろうか?

それとも、試合に負けて男泣きする球児同士のハグを連想したせいか。

「李家は馬鹿だ。どうにもならない大馬鹿だよ!」

少し震えながら、叫ぶように言う先生。

「俺の投げかけた課題、聡明な李家ならきっと判ってくれると思ったのに、どうして判らない!?」
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