キケンな生徒指導
早めに進路が決まったことや、どうせ私一人しか部員がいないからと、先生は、卒業前まで、部活という名目で、私に居場所を与えてくれた。

私にとって、こんな人は、他に居ない。

大都会へ行けば、田舎よりもいろんな人が居るし、先生より素敵な誰かと知り合って恋をする日が来るのだろうか?

先生ことを引きずるより、そのほうがいいに決まっているのに、やはり寂しくて仕方ない。

何しろ、この学校は人数が多いだけでなく、毎年生徒も変わっていくのに、いつまでも先生を独占出来るはずもない…。


結局、友達らしい友達の居なかった私は、卒業で別れを惜しむ相手は一人だけ。

卒業式のあと、人でごった返す中、先生の姿を探し、やっと見つけたものの、案の定、先生は野球部員と思われる子たちに囲まれていた。
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