炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「リアム。氷を操る要領よ。炎の鳥を呼び出してみて」
「やってみる」

 リアムは魔鉱石を両手で持つと目を閉じた。すると、すぐに魔鉱石から炎が立ち上がり、鳥の形を成した。

「飛べ」と伝えると、炎の鳥は部屋の中を旋回した。

「うわあ、リアム殿下。飛ばしすぎ! 本に火の粉が移る!」
「ジーン、さっきからうるさい。リアム殿下がクレアさまの本を燃やすようなへまはしない」

 寡黙なイライジャが口を挟む。横で騒ぐジーンに嫌気がさしたらしい。そのようすを見てクレアはほほえんだ。

「問題なさそうね。よかった。これで人々が魔力のすばらしさ、楽しさをわかってくれる。日々の生活がより便利になる!」
「みんな、きっと喜びますね」



 みんなに喜ばれると思って作った魔鉱石は、結果、人々を不幸へと導いた。
 
 クレアの研究を一番、傍で見ていたのはリアムだ。だからこそ、魔鉱石をリアムに託した。彼なら正しく使ってくれると信じたからだ。

 ――魔鉱石は使う気はない、か。
 
 自分の正体を打ち明けることで、リアムが使うことに賛成してくれたらいいのだけれど。



pagetop