炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
オリバーはリアムが作った拳大の氷の塊を窓の外に投げ捨てた。後続の護衛騎士が、「うわっ!」とあわてる声がしたが、叔父は笑顔のままリアムの頭をやさしくなでた。
「……僕、父さまよりもオリバーに褒められたい」
叔父は、目を見開いた。
「みんなに迷惑かけたくないし、魔力はコントロールできるようになりたい。オリバーがついてきてくれるって言うから、留学するって決めたんだよ」
「リアム、せめてオリバー叔父さんと呼びなさい……」
叔父は注意しながらも嬉しそうに表情をゆるめた。
「これから教えてもらう魔女の末裔クレアさまは、とてもやさしいと聞いている。けれどもしリアムをいじめるようなことがあったら、私が必ず魔女をやっつけてやるからな」
「なにかあってから魔女をやっつけても、遅い気がするけど」
「そうならないように力を尽くすよ」
「……うん、ありがと」
そっと、オリバーに抱きついた。
遠い昔、人はみんな魔力を持ち炎や氷、風や水を自由に操れたという。今は王家やその親族など、ごく一部の者だけだった。
皇帝陛下の父はいつも忙しく、めったに会えない。魔力の扱い方を息子に教える暇がないのならせめて、王弟のオリバーが教えてくれたらいいのにと、大好きな叔父の胸でリアムは思った。
馬車が森を抜けると開けた草原に出た。遥か先にはたくさんの家が並ぶ街が見える。
「うわあ、本当に雪がない。あ、大きな花が咲いてる!」
リアムは飽きることなく、馬車の外を眺め続けていた。フルラ国は色が溢れている。
木々は青い葉をつけ、花々は咲き乱れていた。嗅いだことがない葉の匂いと、耳を澄ませば鳥のさえずりが聞こえる。
城塞の北門から街へ入った。王宮まで続く大通りには、露店がいくつも出ている。見たことがない野菜や果物、調度品が山のように積み上げられていた。
絵本の中で見た楽園に入りこんだみたいで、リアムはずっとわくわくしていた。
しばらく進むと、川にかかった大きな橋を渡った。その先で馬車は停まった。
オリバーに続き、馬車を降りたリアムは目を見張った。
「……僕、父さまよりもオリバーに褒められたい」
叔父は、目を見開いた。
「みんなに迷惑かけたくないし、魔力はコントロールできるようになりたい。オリバーがついてきてくれるって言うから、留学するって決めたんだよ」
「リアム、せめてオリバー叔父さんと呼びなさい……」
叔父は注意しながらも嬉しそうに表情をゆるめた。
「これから教えてもらう魔女の末裔クレアさまは、とてもやさしいと聞いている。けれどもしリアムをいじめるようなことがあったら、私が必ず魔女をやっつけてやるからな」
「なにかあってから魔女をやっつけても、遅い気がするけど」
「そうならないように力を尽くすよ」
「……うん、ありがと」
そっと、オリバーに抱きついた。
遠い昔、人はみんな魔力を持ち炎や氷、風や水を自由に操れたという。今は王家やその親族など、ごく一部の者だけだった。
皇帝陛下の父はいつも忙しく、めったに会えない。魔力の扱い方を息子に教える暇がないのならせめて、王弟のオリバーが教えてくれたらいいのにと、大好きな叔父の胸でリアムは思った。
馬車が森を抜けると開けた草原に出た。遥か先にはたくさんの家が並ぶ街が見える。
「うわあ、本当に雪がない。あ、大きな花が咲いてる!」
リアムは飽きることなく、馬車の外を眺め続けていた。フルラ国は色が溢れている。
木々は青い葉をつけ、花々は咲き乱れていた。嗅いだことがない葉の匂いと、耳を澄ませば鳥のさえずりが聞こえる。
城塞の北門から街へ入った。王宮まで続く大通りには、露店がいくつも出ている。見たことがない野菜や果物、調度品が山のように積み上げられていた。
絵本の中で見た楽園に入りこんだみたいで、リアムはずっとわくわくしていた。
しばらく進むと、川にかかった大きな橋を渡った。その先で馬車は停まった。
オリバーに続き、馬車を降りたリアムは目を見張った。