【BL】SAY YOU LOVE ME
マンションの駐車場は建物の裏側にある。
いつも曲がる交差点を突っ切り正面に回った。
正面は多少ゆとりのある空間で、緑が広がり簡素な公園もある。
車を道路脇に停めてエンジンを切った。
人通りが少ないことを確認し車を降りる。
暗闇に浮かび上がる洒落た街灯の下にはべンチが並んでいた。
どのベンチにも座っている人影は無い。
居ない、か……。
ピンときたつもりになっていたが、当ては外れた。
仮にオレの所へ来たとしても、ここ以外に待てる場所はないだろう。
後ろから若い女の子の集団らしい声が近づき、オレは車に引き返した。
やはり事務所に向かおうと考えて。
左ハンドルの愛車のドアは歩道に面していた。
白いガードレールの切れ間からマンションの入り口が見える。
明るいロビーはトンネルの先に見える外界のように、妙に現実感がない。
ふと自動ドアが開く音がして、見れば受付にいる顔見知りの管理人だった。
焦っているような顔で近づいてくる。
「星崎さま、お待ち下さいお客様です」
ドアが開ききる前に彼はそう言った。