【BL】SAY YOU LOVE ME


何でもないように装って、ごく普通に朝食を食べ始めた。
ミナトくんは着替えてすぐに来たから、やっぱり何でもないようにカウンターの隣の椅子を引いてやった。


「そろそろ遠山から連絡あると思うから、食べたらすぐ出かけるよ」

ミナトくんはオレの言葉より、そこに用意しておいた朝食に目を見開いていた。


「僕、の分ですか?これ、涼さんが!?」

感動した、というようにキラキラさせている。


「ん、あとコーヒー入ってるから…」


赤面しそうになって慌ててキッチンへ立つと「あ!僕自分で…」とミナトくんもついて来る。


「じゃあこれカップ…」と手前にあったマグカップを手渡すと、一瞬まばたきを繰り返したミナトくんは「ありがとうございます」と受け取ってコーヒーを注いだ。



別に深く考えるような風景じゃない。


遠山は自分の家のようにこのキッチンをかき回すし、Kouだって泊まりに来れば一緒に朝食を食べる。


だから別にフツーだ。
これはフツーの状況だ。



けれど隣に座ったミナトくんは…


前にお菓子を食べて貰った時もそう思ったけれど、パクパクと美味しそうに物を食べる。
ゴクゴクとコーヒーを飲み嬉しそうにしている。
それは元気な男の子そのもの、という感じがする。


でも元気な男の子が可愛いのはガキの頃だけで…


こんなに可愛いのはフツーじゃないだろうと思う。



マズイよなぁと思い出した。
昨日の自分はマズかったよなぁと。



背後のガラステーブルに乗せていた携帯が鳴った。
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