香澄くんは心配症〜吸血鬼の幼なじみと友達以上恋人未満?〜
香澄くんに告白
香澄くんは吸血鬼。
血をあげてる私は香澄くんにとって特別な存在だった。
だけど、それもあと数年のこと。

タイムリミットが来てしまったら、きっともう香澄くんとは一緒にいられない。

だから、私はタイムリミットがきても一緒にいられる、香澄くんの特別になりたかった。

ーー香澄くんに告白しよう。

私はそう決心して、香澄くんを公園に呼び出していた。

私の手には、三本のバラの花束。
私が香澄くんに貰ったことがあるあの花束と同じ物。

たぶん、あの日だから。
元気になった香澄くんに、友愛から恋心を抱き始めたのは‥‥

私の思い出の花束。

‥‥‥‥でも、正直早まったかもと思ってる。
本当に特別になれたらいいけど、もしなれなかったら?
タイムリミットまでまだあるのに、失恋ってなったら今の特別さえ失ってしまう。

いや、でも、今このやる気になってるうちに告白しとかないと、絶対一生告白出来ないまま終わる気がする!

ぎゅっと花束を握りしめて気合を入れる。

「なに? 話って」

予想外に後ろから声をかけられて、心臓が飛び上がる。
昨日、寝ないで考えた告白のセリフも一緒に吹っ飛んでしまった。

ええい、ままよ!

「好きです、香澄くん! 友達としてじゃなくて、私を香澄くんの恋人にしてください!」

花束を香澄くんに差し出す。
怖くて顔は見れなかった。

頭を下げた私の耳に香澄くんの声が降って来る。

「え?」

鳩が豆鉄砲を食ったような声に、私は失恋を確信した。

「僕たち、もう付き合ってるでしょ?」

「へ?」

今度は私が豆鉄砲を食った。
< 14 / 17 >

この作品をシェア

pagetop