【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
(まだロルフ様にお聞きしたいことはあるけれど……それよりまずは)

 ニーナが向かったのは、王の寝室だった。
 数種類の香水を豪華なトレーに乗せ、準備は万全だ。

「お前、そこでなにをしているの?」

 ノックをする前に声をかけてきたのは真っ赤なドレスを纏った美しい王妃だった。
 ニーナは恭しく挨拶をした後、早速本題に入る。

「国王陛下の体調が優れないと伺っております。ロルフ様が揃えてくださった材料はどれも一級品です。それらを使って少しでも癒やしになる香水を作らせてはいただけないでしょうか。王妃様もご看病の合間のひとときを彩れるような……」

「結構よ。王も私も贔屓にしている香水店がありますから。それに調香師ごときが直接お会いしようだなんて厚かましい。……あなたはロルフの香水でも作っていればいいのよ。汚らわしい者同士ね」

 吐き捨てる王妃の言葉に、ニーナはただ黙って頭を下げていた。なにも感じないわけではないが、これは予想の範囲内だ。それに、王妃の言う通り数日前に一度、王の従者に香水を試していただけるようお願いしてみたが一蹴されてしまったのだ。

(従者の方に渡しても、まさかその場で処分されるのは予想外だったけれど)

 ――あの呪いの真実について、王様ならなにかご存じのはず。

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