愛した人は剣奴だったから
 アデリアは、彼の背中に腕を回すと、彼が耳朶に顔を寄せながらあまやかな声音で囁き、思いを伝えていく。

「あなたが大好きよ……」   
 
 彼の首筋から立ち昇る匂いを思いっきり吸い込むと、うっとりとしたように安堵の溜め息を漏らしていく。瞬きするのも惜しくなる。一つになって、そのまま夜の底へと溶け込むようにして抱き合いたい。

 シャラランッ。ノラカンナの王を示す特別な耳飾りが揺れ続けている。

 王の帰還を祝うように、その夜は心に花が咲き誇り、愛の雫か煌めき二人の未来を優しく包んでいたのだった。
  

  
           
                    おわり

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