可愛い彼と美しい彼女
彼 女

お姉さんの彼

生まれたときから不自由なことは何ひとつなかった。


自分が仲良くしたいと思った友達はみんな友達になったし、みんなが持っていないようなおもちゃも欲しいと言えばすぐに手に入って、自分が欲しいと言ったものは全て手に入った。



物心がついた頃には自分の家が財力をもつ家庭だということは暗黙に了解していた。


周りの人と私は違うのかもしれない、と思うようになった。


だから、人間が怖かった。
今まで仲良くしていた友達も私には興味はないのかもしれない、いつのまにか私の長所は「家柄が良いこと」、と自分の中で認識するようになった。





「“小鳥遊さんの”麗華さんはとても優秀なのね」



だから、自分の苗字は重荷で、私自身の失態は絶対に許されないような気がした。


日々日々プレッシャーは大きくなって。


でも、私に反抗なんてできる権利も勇気もなく、18年間息をし続けている。



全ては親のレールに従って。







小鳥遊 麗華、高校3年生。

父が有名な通話のアプリケーションの開発をしたなどという偉業を成し遂げていて、母は代々伝わる良家の娘。

つまり、財力、品位と共に日本国内でも最高峰を誇る名家という名家に生まれてしまった私は、現在多くの名家や芸能人などの有名どころの子供が多く通う学校に幼稚舎から通っている。


「ねえ、麗華聞いた!?梨奈の話!」


そして、今教室で隣の席に座るツインテールが特徴的な進藤 ゆりかは同級生で幼稚舎の頃から唯一話せる親友である。


もちろん彼女も日本の大手の主にお菓子などを生産する食品会社の令嬢。


「き、聞いてないけど、どうかしたの?」


キラキラ目を輝かせた彼女はまるで少女漫画のヒロインで。
同性ながら、乙女だなぁ、なんて客観してしまう。


「それがそれが!!梨奈の婚約相手、一ノ瀬 翔真くんらしいんだよ」



一ノ瀬翔真というのは、ドラマや映画好きの私にとっては十分している人物であり、今俳優業界のルーキーとなるイケメン俳優だ。
 

確か、年は私たちと同じ同級生だったような....



「......は?一ノ瀬翔真ってあの、だよね」


「そうだよ!この前の月9の主演、一ノ瀬翔真」

紹介を遅れたが、この会話に出てくる“梨奈”はもう1人の心を許せる親友であり、ちなみに彼女は親が歌舞伎俳優で、彼女自身も容姿が綺麗なのを生かして、モデルをしていてファッション誌の表紙を多く飾る人気モデルになりつつある。



「芸能人も許嫁とか決まってるもんなんだね〜」




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