可愛い彼と美しい彼女
一般の人からしてみれば、許嫁や親から決められた婚約者など少女漫画の醍醐味でしかないと思うが、それが平気で存在するのが私たちが生きている世界。



私もいずれ親の決められた都合がいい相手と結婚するだろう。



考えるだけでため息が出る。





「よし、私達も超イケメン御曹司と結婚するしか未来見えてないしね?」



そんな自分をひとまず変えたくて、なんとなくプラスになりそうな言葉を放ってみる。




「そうだよ、私達にだって一ノ瀬翔真以上のイケメンと結婚するかもしれない確率あるもんね!」

あっさりとその発言に乗っかってくれるゆりかに頬が緩む。

「なんでそんな一ノ瀬翔真に執着.....」


「くっ.....最近沼りかけてた俳優さんだったのよ、もう」


「あ、そういうことねぇ」


むすっとほっぺを膨らます彼女のほっぺをつんつんと、指で刺しながら茶化すと「もう、うるさいよ」と席をたたれてしまった。


私はもう恋愛には期待をしていない。

なんなら、ゆりかと一緒に歳をとっておばあちゃんになったら楽しそうだしな、


なんて頭をよぎる。
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