緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「サキュバスはコスプレも過激で、バリエーションが豊富です。
アニメや漫画にも数多く取り上げられているので、ビジュアルもいいですね。
それに比べて、魔女は、時代遅れでしょう」

サリエルは、両手を広げて肩をすくめるように、
後ろを振り返り、傍聴席の天使たちを見た。

「もはや、魔女は魔界における
絶滅危惧種と言えます。
別に、封印しなくても、自然消滅するのではないですか?
むしろ、今後、保護する対象として魔女を扱うようになるでしょう。
今、我々には、発想の転換を求められているのです」

じじ・・時代遅れ・・絶滅危惧種・・自然消滅・・保護対象・・

リリカは、雄弁に語るサリエルをにらみつけた。

「我々が早急に取り組むべきは、サキュバス対策ではないですか?
このまま、魔女対策に取り組むのは、コスパが悪いし、
今ここで、放置していても問題にもならないでしょう」

サリエルは緋色の衣を翻して、
自分の席に戻った。

「魔女リリカ殿、それでは退出をしてください・・」
秘書の天使が声をかけた。

「ありがとうございました」

リリカはバックにタブレットをしまった。
丁寧に頭を下げ、入って来た扉から出ていった。
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