『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

「ヤバいかも……」
「何なに、アンタ顔が青いよ」
「お前のせぇだろーがっ!」
「はぁ?お姉様に向かって『お前』はねーだろッ!!」
「う゛ぅっ……ぃっっっっってぇーなぁッ!!」

姉貴にリモコンで頭をおもクソ叩かれた。
何でコイツはいつも暴力振るうんだよっ!

育児ストレスを発散する為にゲームに課金した姉貴が、“限定イベントの装備の使い方を教えろ”と勝手に押しかけて来た。
いつもいつも傍若無人すぎる。

メモ用紙にざっと使用方法を書き込んで、それを姉貴に叩きつけた。

「悪い、俺彼女んち行くから、勝手に帰って」
「は?」
「姉貴との会話、なんか勘違いしてるっぽい。マジでフォローしないとヤバそうだから」
「悠真、ベタ惚れじゃん」
「ん。……だから、帰って」
「しゃーねーなー」

玄関は暗証番号型のロックタイプだから、締めれば自動的にロックされる。
俺は自宅を後にして、璃子さんちを目指した。



地下鉄の改札口を駆け抜け、滑り込んで来た電車に飛び乗る。

二十二時十二分。
スーツ姿のサラリーマンがちらほらいるだけで、昼間の喧騒とは違う、だいぶ静かな電車に揺らて……。



ピンポーン、ピンポーン、ピンポン、ピンポン、ピンポン…。

「っっっ煩いっ!!」
「やっと開いたっ」
「何なの?!こんな時間に」

二十二時四十七分。
駅から猛ダッシュで璃子さんのマンションに来た俺は、久しぶりに息切れしてる。

「んっ……」

かなり機嫌の悪い璃子さんをぎゅっときつく抱き締めた。

「勘違いさせてごめんっ……、さっきのアレ、……姉貴だからっ」

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