『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

八神くんとの電話を切った私は、消化しきれない感情を無理やり押し込めようとビールを煽る。
五歳も年下の恋人なんだから、悪遊びくらいしたいに決まってる。
……五歳も年上なんだから、大人な対応しなくちゃ。

冷静になろうと鞄からパソコンを取り出し、業務報告書を作成し始めた。
仕事をすれば、気持ちも切り替えられる……はず。



ピンポーン、ピンポーン、ピンポン、ピンポン、ピンポン…

二十三時少し前。
自宅のインターホンが連打される。

こんな時間にこんな鳴らし方をする人なんて、一人しかいない。

「っっっ煩いっ!!」
「やっと開いたっ」
「何なの?!こんな時間に」

近所迷惑になると思って、仕方なくドアを開けると。
額から汗を垂らしながら息を切らしてる八神くんが。

「んっ……」
「勘違いさせてごめんっ……、さっきのアレ、……姉貴だからっ」

ぎゅっと抱き締められる体が、きゅーっと悲鳴を上げた。
さっきの電話を切って、必死に駆けつけてくれたんだ。

彼の言葉に、どうしようもなく安堵する。
彼が後ろめたいことをしてたんじゃないと分かっただけで、こんなにも安心できるなんて。

五歳も年上だから、もっと余裕な顔してやり過ごさないと、と思ってたのに。
それすらも見透かされてるみたいで……。

「姉貴が言ってた“脱がした”とか“放置”だとかは、ゲームの中のキャラの装備のことだから」
「……っ」
「育児ストレスで苛々してて、八つ当たりに俺んとこ来ただけだから」
「……ん」
「マジで、璃子さんには嫌われたくないっ」
「…大丈夫だよ」
「ホント?」
「ん」

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