『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
八神くんとの電話を切った私は、消化しきれない感情を無理やり押し込めようとビールを煽る。
五歳も年下の恋人なんだから、悪遊びくらいしたいに決まってる。
……五歳も年上なんだから、大人な対応しなくちゃ。
冷静になろうと鞄からパソコンを取り出し、業務報告書を作成し始めた。
仕事をすれば、気持ちも切り替えられる……はず。
*
ピンポーン、ピンポーン、ピンポン、ピンポン、ピンポン…
二十三時少し前。
自宅のインターホンが連打される。
こんな時間にこんな鳴らし方をする人なんて、一人しかいない。
「っっっ煩いっ!!」
「やっと開いたっ」
「何なの?!こんな時間に」
近所迷惑になると思って、仕方なくドアを開けると。
額から汗を垂らしながら息を切らしてる八神くんが。
「んっ……」
「勘違いさせてごめんっ……、さっきのアレ、……姉貴だからっ」
ぎゅっと抱き締められる体が、きゅーっと悲鳴を上げた。
さっきの電話を切って、必死に駆けつけてくれたんだ。
彼の言葉に、どうしようもなく安堵する。
彼が後ろめたいことをしてたんじゃないと分かっただけで、こんなにも安心できるなんて。
五歳も年上だから、もっと余裕な顔してやり過ごさないと、と思ってたのに。
それすらも見透かされてるみたいで……。
「姉貴が言ってた“脱がした”とか“放置”だとかは、ゲームの中のキャラの装備のことだから」
「……っ」
「育児ストレスで苛々してて、八つ当たりに俺んとこ来ただけだから」
「……ん」
「マジで、璃子さんには嫌われたくないっ」
「…大丈夫だよ」
「ホント?」
「ん」