『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

恋愛って、そんな単純なの?
違うよね?

見た目や収入なんて、時と共に変化することもある。

老けることもあるし、体重の増減だって意外と多い。
会社の業績によって給料が変化するように、家族が増えれば生活リズムだってだいぶ変わる。

家柄は土台部分だから変わらないとしても、恋愛って臨機応変に対応するものだと思っていた。

好きなタイプの人と付き合うんじゃなくて。
好きになった人がタイプなんじゃないかと思ってたんだけど。

だから、私はダメなのかも。
付き合う前にちゃんとその人のパーソナルな部分をよく見てなかったってこと?

「恋愛って、仕事より難しいね」
「璃子、朝からどうした?」
「なんか、何年もかけて一つのことを攻略するって、相当大きなプロジェクトじゃない」
「ん~まぁ、そう思えなくはないけど」
「一年前に契約満期になってたはずなのに、今頃になってやり残した課題が見つかったみたいな…」
「私は契約満期でぶった切ってもいいと思うよ?」
「え?」
「その取引相手と関わるわけじゃないでしょ」
「……そうだね」
「けど、何らかの形で、璃子のスキルに支障を来してるのは明らかだから、そこは完全無視とはいかないか」
「………」

満員電車内での会話だから、核となるあの話題には触れられない。
和沙もそこら辺はあえてぼかして会話してくれる。

降車駅に到着し、和沙と一緒に改札へと向かう。

「ワンコちゃんはさ、璃子の何が好きなんだろうね?」
「っ?!」
「年も離れてるし上司じゃない。確かに璃子は美人だし、仕事もできるし、見た目は文句なしの優良物件なのは分かるけど」
「………」

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