『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

八神くんに触れたらダメだって分かってたのに。
自分の欠落した何かが見つかるんじゃないかと、彼を利用してる。

確かに酔って、人肌恋しくて。
彼に触れたい衝動はあるんだけれど。

それ以上に、自分は“普通”なんだと、八神くんに証明して欲しいだなんて欲が出た。
それが、彼の要求を呑むことになったとしても……。

ギブアンドテイク。
私が一つ求めるように、彼の求めるものを一つ提供するだけ。
お互いに大人なんだから、割り切ることだって出来るはず。

彼のキスは凄く優しい。
激しく求められているのに、傷つけないようにと気遣われてるのが伝わって来る。

太腿から腰へと指先が這う。
その指先が上に着ている部屋着の裾からゆっくりと滑り込んで来た。

エアコンとホットカーペットで暖められている室内。
お酒の力もあって、体が少し熱いくらいなのに。
彼の指先はもっと熱く感じる。

腹部から下着の上へと到達した指先は、そっと優しく右胸を包み込んだ。

「抵抗しないんですか?」
「ぇっ?」
「今なら、……止めれますけど」
「………」

本当に手のひらで転がされてる。
何を期待したんだろう?
彼に“問題ない”と太鼓判を押して貰いたかっただけ?
そこに彼の気持ちは必要ないの?
こんなにも、真摯に向き合ってくれてるのに。

「今まで、付き合ってもいない人とシたことないの」
「………はい」
「だから、私を抱きたいなら……」
「………付き合ってもいいと?」
「お試しに、サブスク的な恋愛でよければ…」
「っ……」
「それでもいいの?」
「はいっ、ってか、是非ぜひお願いしますっ!」
「フフッ、かわいっ」
「なっ……」

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