『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
どうして欲しいですか?

「電気くらいは消そうよっ」
「えぇ~何でですかぁ…。先輩のよがり顔、見れないじゃないですか」

よがり顔って、何?
シャワーを浴びさせて貰うことすら軽く拒否され、軽々と寝室に運ばれた。

若いって凄い。
あんなにお酒を飲んだのに、全然平気そうな顔してる。

一年ぶりに出来た彼氏は、五歳下の部下。
彼の気持ちが無かったら、完全にパワハラだ。
職権振りかざして、二十四歳の子を餌食にしようとしてるだなんて思われそう。

「やばっ、……先輩、想像以上にエロい下着つけてるんですね」
「っ……、だから電気消そうよっ!」
「無理っ、目に焼き付ける」
「っっっ~~」

こんな年増の体でその気になるんだろうか?
貧相な体ではないと思うけど、やっぱりハリには自信がない。

「リモコン返してっ」
「もう煩い、黙って」
「っ……」

部屋の照明のリモコンを奪い取られ、灯りが煌々とついてる中で下着姿って。
何プレイなの?……ホントに無理っ。

味わったことのない感覚に陥る。
八神くんの視線に連動するみたいに鼓動が激しく反応を示す。

体中に触れる彼の唇の感触に、初めて沸き起こる感覚が怖い。

今までも、同じことをされた経験があるのに。
どうして、八神くんのそれは違うんだろう?

照明がついてるのと、消えてるのとの違い?
それとも、八神くんだから?

もしかして、これが“感じる”ってことなのかな……。

過去に行為をした男性は何人かいるけれど。
あの人が言うように、特別何かを感じるだなんてこと一度もなかった。

だけど、今……。
八神くんから与えられるそれは、確実に私の知らない何かなのは確かだ。

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