『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

「先輩、思ってた以上に華奢なんですね」
「っ……」

いちいち口にしなくていいからっ。
恥ずかしくて呼吸しづらいじゃない。

「あ、めちゃくちゃ心臓が早いっ」
「っっっ……、そういうことは口にしないでっ」
「えっ、何でですか?これも行為の一部ですよ?」
「……っっ…」

もしかして、相当ヤバい相手だったのかも……。
見誤った?私。

羞恥に耐え切れず、顔を背けて必死に呼吸を整えていると。
スーッと背中に伸ばされた指先に下着の留め金がいとも簡単に外された。

油断した。
ってか、もっとお酒を飲んでおくんだった。

意識ははっきりとあるのに、体が火照ってて感覚がおかしい。
中途半端に飲んだ結果、羞恥の刑で気が狂いそう。

「先輩の胸、綺麗ですね。……俺好み♪」
「っ……」

もう黙ってってば。
誰か、この男の口塞いで!

背けた顔が無理やり元の位置へと戻される。
顎を掴まれ、再び重なる口づけは、さっきよりも濃厚で。
息継ぐ間を与えて貰えぬほど、執拗に迫って来る。

顎を掴んでいた指先が首筋から鎖骨へと這い下りて……。

酔いが回るほどのアルコールを飲んだから?
彼の指先の感覚に体がいちいち反応する。

呼吸困難で軽く意識が失いかけると、静かに離された唇が、ゆっくりと這い下りて行った。

お腹の奥底。
体の中から沸き起こるようなゾクゾクとした感覚。
彼が触れる箇所はジンジンと熱を帯びて、熱い吐息に、もっと触れて欲しいと思ってしまう。

酔っている。
完全にお酒のせいだ。

彼にもっと触れて欲しいと思うだなんて……。

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