『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました


数年無理して来たつけが、とうとう出てしまったようだ。

初夏に受けた健康診断で再検査となり、仕事に追われて秋に再検査をした。
すると、要精密検査となり、年明けに指定医療機関で検査を受けた。
その結果、やはり異常を示すもので。
詳しい検査をするために、先週紹介された病院で検査を受け、今日検査結果を受けて来た。

緊急性の高い治療が必要なわけではないけれど、放置できる数値ではないということ。
日頃のストレスと疲労からくるホルモンのバランスが崩れ、血液や甲状腺、心臓に負担がかかっているらしい。

再来週の誕生を迎えたら、三十歳。
仕事中心で体を壊すだなんて、上司として部下に顔向けできない。

本当に私って、ポンコツだ。

恋愛もまともに出来ず、未だに独身。
人生九十年と言われるような時代になりつつあるのに。
まだ三分の一しか生きてないのに、体はボロボロだなんてお笑い種だ。

八神くんからのお誘いメールを断ってしまった。
今、まともに会話できる気力がない。
何も考えたくないし、明日の仕事の準備をするのも放棄したいくらいなのに。

二十五歳(八神くんの歳)。
若いっていいな。
巻き戻せるなら、五年くらい巻き戻して、恋愛も仕事も肌の手入れも完璧にこなしたい。

無理だと分かっているからこそ、ないものねだりをしてしまう。

いっそのこと、仕事辞めようかな。

結婚費用にとコツコツ貯めたお金は結構ある。
このまま結婚せずに独身で通すなら、マンションが買えるくらいはある。

人間、弱るとトコトン思考がダメになる生き物らしい。

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