『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
俺の気持ちを何だと思ってんの?

三月三日の誕生日は璃子さんとレストランで外食し、映画館デートをした。
もちろんその夜のデザートは、とびきり美味しい璃子さんを堪能して♪

まだ“好き”だって、認めて貰えたわけじゃないけれど。
少しずつ彼女の気持ちが変化してるのは分かる。

付き合い始めの頃は、お泊りするのもフルセットの荷物が無いと絶対に泊らなかった璃子さんが、最近は諦めたのか、俺に対して気を許したかのか分からないけれど、何となく自然な雰囲気で気を許してくれている気がする。

杏奈の一件は親と相談して、弁護士を立てて法的処置を更に強化した。
次に何か仕掛けて来たら、マジでぶち込んでやる。

璃子さんにもしものことがあったと思うだけで、気が狂いそうだ。



仕事を終え、駅へと向かいながら璃子さんにメールを打つ。
『これから行ってもいいですか?』
すると、すぐさま返信が来た。
『ごめんね、今日はちょっと調子が悪くて』

調子が悪い?
なら、なおさら顔がみたいんだけど。

『顔見るだけでもダメですか?』
『ごめんね』

え、……初めてなんだけど、断られるの。
マジでそんなに調子が悪いの?
昼間は顔色も良かったし、いつもと変わらない感じだったのに。

疲労骨折の時のが蘇る。
彼女はいつも無理しがちだ。

『本当に大丈夫ですか?何か買って行きましょうか?』

しつこいと思われるだろうか?
こういう時に、余裕をかましてられるほど大人じゃない。

『少し疲労が溜まってるから、早くに休みたいだけ。我が儘言ってごめんね』

璃子さんが謝ることは何も無いのに。

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