新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
明良さんはそう言ったまま、電子レンジが作動している間、他の調理を進めていた。
葉っぱは、これから使うと言っていたけれど、どうするんだろう?
電子レンジのタイマーの終わった合図音がしたので振り返ると、明良さんがボールを取り出して調理台の上に置いたが、取り出したボールのラップは掛けたまま、また別の食材を刻んでいる。
気になって、ラップに付着した水滴でよく見えなかったが、覗いてみると大根が半透明色になっていた。
「さて、もういいかな。陽子ちゃんも気になっているみたいだし」
「すみません。つい気になっちゃって」
明良さんはラップを取ると、ボールの中の大根と塩昆布を混ぜて器に盛って、冷水に浸しておいた大根の葉っぱを刻んで上から散らした。
「1品、出来上がり」
「えっ? もう、もうこれで出来ちゃったんですか?」
「うん。大根が塩昆布の絶妙な塩加減にマッチして美味しいんだ。題して、大根丸使い塩昆布和え」
「美味しそう。今度、作ってみます」
「本当に作ってくれる?」
「は、はい。今度は、必ず作ります。大根好きなので」
すると、明良さんがピースサインを出してくれた。
「あっ。でも、塩昆布はどのぐらい入れればいいんですか?」
「うーん。適当に」
「そ、そうなんですか……」
その適当にというのが、よく分からない。
適量とか、適宜とか少々とか。ひとつまみとかも。
「ん? どうかしたの?」
「あっ、いえ。何でもないです」
今更、こんなこと聞けないしね。
「その適当っていうのは、どの程度の適当加減なんだ?」
高橋さん?
「その基準は、何をもって適当っていうんだ? 明良の適当の範囲が、俺には広すぎて分からない」
「俺も知りたい」
仁さんまで……。
葉っぱは、これから使うと言っていたけれど、どうするんだろう?
電子レンジのタイマーの終わった合図音がしたので振り返ると、明良さんがボールを取り出して調理台の上に置いたが、取り出したボールのラップは掛けたまま、また別の食材を刻んでいる。
気になって、ラップに付着した水滴でよく見えなかったが、覗いてみると大根が半透明色になっていた。
「さて、もういいかな。陽子ちゃんも気になっているみたいだし」
「すみません。つい気になっちゃって」
明良さんはラップを取ると、ボールの中の大根と塩昆布を混ぜて器に盛って、冷水に浸しておいた大根の葉っぱを刻んで上から散らした。
「1品、出来上がり」
「えっ? もう、もうこれで出来ちゃったんですか?」
「うん。大根が塩昆布の絶妙な塩加減にマッチして美味しいんだ。題して、大根丸使い塩昆布和え」
「美味しそう。今度、作ってみます」
「本当に作ってくれる?」
「は、はい。今度は、必ず作ります。大根好きなので」
すると、明良さんがピースサインを出してくれた。
「あっ。でも、塩昆布はどのぐらい入れればいいんですか?」
「うーん。適当に」
「そ、そうなんですか……」
その適当にというのが、よく分からない。
適量とか、適宜とか少々とか。ひとつまみとかも。
「ん? どうかしたの?」
「あっ、いえ。何でもないです」
今更、こんなこと聞けないしね。
「その適当っていうのは、どの程度の適当加減なんだ?」
高橋さん?
「その基準は、何をもって適当っていうんだ? 明良の適当の範囲が、俺には広すぎて分からない」
「俺も知りたい」
仁さんまで……。