ハニー メイド ヘヴン
honey made heaven
あたしの人生の半分は、格好よくて優しくて強くて、誰より妹を溺愛してくれたお兄一色で。あとの半分はこの世でたった一人、このあたしが愛した男一色。

自分がいなくなる代わりに、二人の子供を残して消えた男の帰りを待ってるから、このあとの人生も同じ色に染まり続ける。

そんなことをしみじみ思い出してるのも、今日が愛娘、有紗(ありさ)の結婚式だから。泣く泣く引き摺っていかれたお兄の結婚式で隆二(りゅうじ)と出逢ったのが、ついこの間みたい。朝からとびきりの秋晴れ。風も穏やかな結婚式日和。

義理の息子になる臼井(うすい)太介(たいすけ)は、あたしの高校時代からの先輩で親友、秋生(ときお)ちゃんと、イケメン陽人(はると)さんの長男クンで、有紗とは幼馴染みだ。

弟の七央(ななお)クンもいるから、どっちかとそうなったらいいと親同士は勝手に思ってたけど。本当に秋生ちゃんと義理の姉妹にしてくれるなんて、なんて親孝行な子供達。

式が始まるまであと一時間ほど。早めに到着して、千倉家の親族控え室で待つあたしに付き添ってくれてるのは、有紗の双子の弟、優二(ゆうじ)。娘はあたし似、息子は父親似。見事な産み分けで我ながら感心する。
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