可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる
それから・・・
「あの、何か・・・?」
あの古い扉を開けてカルベルの所に逃げ込むと、目の前に立った私にカルベルは恐る恐る声を掛けてきた。
「こんな姿だけど、私!!ルル!!」
「え・・・ルル伯爵令嬢ですか!?
すみません、その姿だと分からなくて。
そんな姿でどうされたんですか?」
「貴族の悪い男達から昼ご飯に誘われたり夜に部屋に来るように誘われたりし始めたから逃げてきた。」
「ナンフリーク殿下が貴族の女性達を相手にするのを止めると宣言したらしいので、元々ルル伯爵令嬢に目を付けていた男性達かもしれませんね。」
「違う違う、女から相手にされないような軟弱な貴族の男達!!
親がジルゴバート“陛下”の重鎮や側近らしくて、王宮を出入り出来るって自慢してたよ?」
「それは災難でしたね、その類いの男性達は傲慢で乱暴な男性ばかりなので。
僕はたまに蹴飛ばされたりしています。」
「誰にやられたの?特徴は?
私がバレないように一瞬で殺してくるよ。」
本気でそう言ったのにカルベルは楽しそうに笑っているだけ。
楽しそうに笑いながら、今日も大量の芋の皮を剥いているカルベルに聞く。
「ここって隠れて会う場所としてたまに使われるの?」
「はい、そうみたいですね。」
「カルベルも見たことがある?」
「夜の遅い時間に何度か見たことがありますね・・・。
その・・・はい、男と女が何やらしている場面を・・・。」
「まだ10歳でしょ?
そんなこと分かるの?」
「早いと16歳で結婚する男性もいますし、周りの人達も休憩中にそんな話で盛り上がっていたりしますし、なんとなくは・・・。」
「そうなんだ~。
男ってくだらない話してるんだね~。
カルベルに夜遅くまで仕事させておいて何してるんだかね?」
「あ、それは仕事といいますか頼まれ事でして。
料理の勉強みたいなことですけど、そういう機会を貰っているんですよね。」
嬉しそうなカルベルの顔を見てから小さく頷き、私はカルベルの手元にある芋を眺めながら聞いた。
「ここ、ステル殿下も使ってた所を見たことあるよね?」
そのついでにカルベルと話していたと言っていたステル殿下。
聞くつもりはなかったけれど、カルベルの姿を見たら思わず聞いてしまった。
不思議そうな顔で私のことを見ているカルベルに視線を移す。
この世界で1番良い色といわれ、神に近い能力があるという白い髪の色を持つカルベルに。
10歳のカルベルという名前の男の子に。
カルベルは小さく首を傾げながら口を開いた。
「ステル殿下って、第2騎士団の団長だった方ですよね?
僕はお会いしたことがないので、使っていたとしてもそれがステル殿下だとは分からないです。」
そんな・・・
そんなことをカルベルが言って・・・。
「ステル殿下と会ったことないの?
ステル殿下からはカルベルと知り合いだって聞いたよ?
ここを使うついでにカルベルと話してたって。」
「ステル殿下が・・・!?
まさか!!騎士団の団長なだけでも凄い方なのに、更に皇太子殿下になられたような方と僕がお話なんて出来ませんよ!!」
カルベルがそう言って笑っている。
聖女でありステル殿下の皇太子妃となった私と喋っているカルベルが。
そんなカルベルには自然と笑いながら聞いてみる。
「黒髪持ちの男とは話したことがある?」
そう聞いた私にカルベルはパッと顔を明るくして頷いた。
「黒髪持ちなんて珍しいはずなのに、ステル殿下と同じ黒髪持ちの方が騎士にもう1人いるんですよ!!」
「そうなんだ・・・っ?」
それには大きく笑いながら頷く。
ステル殿下もカルベルと話す時は身分を隠していたらしいから。
大きく笑っている私にカルベルも嬉しそうな顔で笑いながら言った。
言った・・・。
その男の名前を、言った・・・。
「ソソという名前の方です!!」
そう言った・・・。
この王宮には1人しかいない黒髪持ちの男のことを・・・
ステル殿下のことを・・・
“ソソ”と、そう呼んで・・・
「最近は使ってないですけど、前はたまにここを使っていましたね!!」
そう、言った・・・。
「あの、何か・・・?」
あの古い扉を開けてカルベルの所に逃げ込むと、目の前に立った私にカルベルは恐る恐る声を掛けてきた。
「こんな姿だけど、私!!ルル!!」
「え・・・ルル伯爵令嬢ですか!?
すみません、その姿だと分からなくて。
そんな姿でどうされたんですか?」
「貴族の悪い男達から昼ご飯に誘われたり夜に部屋に来るように誘われたりし始めたから逃げてきた。」
「ナンフリーク殿下が貴族の女性達を相手にするのを止めると宣言したらしいので、元々ルル伯爵令嬢に目を付けていた男性達かもしれませんね。」
「違う違う、女から相手にされないような軟弱な貴族の男達!!
親がジルゴバート“陛下”の重鎮や側近らしくて、王宮を出入り出来るって自慢してたよ?」
「それは災難でしたね、その類いの男性達は傲慢で乱暴な男性ばかりなので。
僕はたまに蹴飛ばされたりしています。」
「誰にやられたの?特徴は?
私がバレないように一瞬で殺してくるよ。」
本気でそう言ったのにカルベルは楽しそうに笑っているだけ。
楽しそうに笑いながら、今日も大量の芋の皮を剥いているカルベルに聞く。
「ここって隠れて会う場所としてたまに使われるの?」
「はい、そうみたいですね。」
「カルベルも見たことがある?」
「夜の遅い時間に何度か見たことがありますね・・・。
その・・・はい、男と女が何やらしている場面を・・・。」
「まだ10歳でしょ?
そんなこと分かるの?」
「早いと16歳で結婚する男性もいますし、周りの人達も休憩中にそんな話で盛り上がっていたりしますし、なんとなくは・・・。」
「そうなんだ~。
男ってくだらない話してるんだね~。
カルベルに夜遅くまで仕事させておいて何してるんだかね?」
「あ、それは仕事といいますか頼まれ事でして。
料理の勉強みたいなことですけど、そういう機会を貰っているんですよね。」
嬉しそうなカルベルの顔を見てから小さく頷き、私はカルベルの手元にある芋を眺めながら聞いた。
「ここ、ステル殿下も使ってた所を見たことあるよね?」
そのついでにカルベルと話していたと言っていたステル殿下。
聞くつもりはなかったけれど、カルベルの姿を見たら思わず聞いてしまった。
不思議そうな顔で私のことを見ているカルベルに視線を移す。
この世界で1番良い色といわれ、神に近い能力があるという白い髪の色を持つカルベルに。
10歳のカルベルという名前の男の子に。
カルベルは小さく首を傾げながら口を開いた。
「ステル殿下って、第2騎士団の団長だった方ですよね?
僕はお会いしたことがないので、使っていたとしてもそれがステル殿下だとは分からないです。」
そんな・・・
そんなことをカルベルが言って・・・。
「ステル殿下と会ったことないの?
ステル殿下からはカルベルと知り合いだって聞いたよ?
ここを使うついでにカルベルと話してたって。」
「ステル殿下が・・・!?
まさか!!騎士団の団長なだけでも凄い方なのに、更に皇太子殿下になられたような方と僕がお話なんて出来ませんよ!!」
カルベルがそう言って笑っている。
聖女でありステル殿下の皇太子妃となった私と喋っているカルベルが。
そんなカルベルには自然と笑いながら聞いてみる。
「黒髪持ちの男とは話したことがある?」
そう聞いた私にカルベルはパッと顔を明るくして頷いた。
「黒髪持ちなんて珍しいはずなのに、ステル殿下と同じ黒髪持ちの方が騎士にもう1人いるんですよ!!」
「そうなんだ・・・っ?」
それには大きく笑いながら頷く。
ステル殿下もカルベルと話す時は身分を隠していたらしいから。
大きく笑っている私にカルベルも嬉しそうな顔で笑いながら言った。
言った・・・。
その男の名前を、言った・・・。
「ソソという名前の方です!!」
そう言った・・・。
この王宮には1人しかいない黒髪持ちの男のことを・・・
ステル殿下のことを・・・
“ソソ”と、そう呼んで・・・
「最近は使ってないですけど、前はたまにここを使っていましたね!!」
そう、言った・・・。