婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 レイモンドには一つ引っ掛かることがあった。

 果たして、オディールは王子が戦争を計画していることを知っているのだろうか。

 彼女の性格ならば、無用な戦は絶対に反対するはずだと思った。
 だが、今の彼女は王子の起こす戦争のサポートをしていると言っても過言でもない。そんな血生臭いこと、優しい彼女が喜々として手伝うだろうか。

 他にも疑問点はある。

 王子の未来の花嫁に対する冷淡な仕打ち。あの鮮やかな鳥の「侯爵令嬢、それだけが取り柄」という言葉が頭から離れなかった。

 フランソワはあの鳥は人間が何度も繰り返す言葉を自然と覚えると言っていた。
 彼女は、王子以外の家族や周囲の人間からも、ずっと冷遇され続けているのではないだろうか。最早それが当たり前になって不遇を受けていること自体に気付いていないのでは?

 考えれば考えるほど、彼の中に怒りの感情がめらめらと燃え盛るように湧き上がっていった。
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