婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜



「オディール・ジャニーヌ ハ トッテモコウシャクレイジョウ ソレダケガトリエサ」

「もうっ、また変な言葉になっているわよ」

「ヴェルは一体どこに遊びに行っているんでしょうね? それに心なしか、ちょっとぷっくりしたような」と、アンナが小首を傾げた。

「そうなのよねぇ」わたしは眉根を寄せる。「どこかで美味しい物でも戴いているのかしら?」

 ヴェルは相変わらず大使館の外まで飛んで行っているようだった。どなたかにご迷惑をお掛けしていなければいいのだけれど……。

 彼に餌を与えてたり遊んでくださっている優しい方に、いつかはお礼が出来ればと思う。
 今度、足にご挨拶の手紙を取り付けてみようかしら?

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