婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

28 真実

 レイから受け取った調査書の内容は、悲しいことにおおむね予想通りだった。

 アンドレイ様はフロールという偽名を使って違法に手に入れた美術品の売買、絵画の贋作の斡旋、美術品による資金洗浄……果ては異教とされる悪魔崇拝の秘密結社との関わりを持っていた。それは大陸中に普及している聖ロクス教のアンチ組織で、奴隷の売買など黒い噂が耐えない宗教だった。
 昔から極端に美しい物がお好きな方だったけど、まさかここまでとは……と、わたしは愕然とした。

 そして、シモーヌ・ナージャ子爵令嬢との関係。

 こちらも勿論クロだった。彼らはわたしの目を盗んで、かなり深い交際をしているようだった。
 アンドレイ様は彼女にとってもご執心なようで、本来なら婚約者に充てる予算も全て子爵令嬢につぎ込んでいたみたいだ。
 それだけでなく、国庫からもプレゼント代を拝借しているらしい。そして彼女の実家のナージャ家にも秘密裏に便宜を図っていた。
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