婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

45 ザ・断罪・ショウ④

 アンドレイ様の整った顔がみるみる青くなる。ナージャ子爵令嬢も目を白黒させていた。
 わたしは二人を交互に見てふっと微笑んで、

「見覚えがありますわよね、殿下? こちらは全てあなたが違法な手段で入手した美術品の数々ですわ」

「お、お前……どうして俺の宝物庫を……さっきの手紙も…………!?」

「あら、アンドレイ様がわたしに委任状を書いてくださったのではないですか。お陰で王太子殿下の歓待の準備が滞りなく進みましたわ。ありがとうございます、殿下」

「あのときの……!」

 アンドレイ様は息を呑んで目を剥く。
 憤怒と驚愕。二つの感情が混沌と絡み合って全身を駆け巡り、歯噛みしながら身体を小刻みに震わせていた。

「委任状は最初からこのつもりだったのか…………!」
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