婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜



 わたしとアンドレイ王子は建国パーティーの日に王家側の有責で婚約破棄が決まった。
 晴れて自由の身となったのだ!
 長かった……ここまで来るのに本当に長かった。

 自分の意思なんて心の隅にも宿っていなくて両親やアンドレイ王子の操り人形だったわたしが、よくぞ自ら進むべき道を選択できたと、我ながら嬉しく思う。

 間諜としてローラント王国へ向かって、そこで多くの人たちと出会って、生まれて初めて褒められて、自分で考えて行動することを覚えて、そして……愛する人ができた。

 どうでもいい娘だと王子や両親から躊躇なく他国へ行くのを許された――これだけは三人に本当に感謝しているわ。
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