婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

 オディール・ジャニーヌ侯爵令嬢は隣国の王子の婚約者だ。それを横恋慕するようなことになると……。

 揉めに揉めて、最悪、戦争になるぞ……!

 国力からしてアングラレス王国に負けることはないと思うが、我が国の王太子がこんな馬鹿なことで戦争を起こしたとなると大問題だ。
 国民も貴族もレイモンドに失望して、王子としての資質を問われる。継承権の剥奪もあるかもしれない。

「いや……」

 フランソワは頭を振る。
 まさか、レイモンドに限ってそんな愚かな行動を取らないだろう。幼少の頃から後継者としての教育を受けていて、本人も聡明な人物だ。国より女を取るなんて、しないはず。

「それに、令嬢嫌いのあいつが令嬢に惚れるなんてあり得ないしな」

 フランソワは余計なことは考えないように、まずは目の前の仕事に集中することにした。

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