婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

7 ダイヤモンド鉱山① 〜王太子の噂〜

 アンドレイ様のためならエンヤコラ!
 アンドレイ様のためならエンヤコラ!



「おーい、オディオ! こいつをトロッコまで運んでくれ」

「は~い! ……よいしょ、っと――わわっ!」

 ドスン、と鈍い音を立てて尻もちを付いた。途端に周囲からどっと笑い声が起こる。

「またやってしまった……」と、わたしは照れながら頭を掻いた。

「大丈夫かよ~、これくらいでヘバってちゃあ昼まで持たねぇぜ」

「女みたいにひ弱だな、オディオは」

「こっ、これでも初日よりかは運べるようになったんだよ!」

「初日は一袋も運べなかったからなぁ!」

 ワハハハハ、と坑夫たちの豪快な笑い声が洞窟内に響いた。

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