婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
「う~ん……」わたしはしばし思案して「きっとオレの家が田舎だから、正しい情報が入って来なかったんだと思う。ほら、噂って広がれば広がるほど元の話と違う内容になっていくものだろう?」
「なるほど。君はかなりの辺境の地の出身のようだ。それで、噂とは違ってどう思った?」
「どうって……噂は当てにならないな、って。――ああ、あと王太子殿下は凄いな。ここの待遇は殿下が改善されたんだろう?」
彼は矢庭に得意げな顔になって、
「まぁな」
ニヤリと笑って、したり顔をした。
え、なんなのかしら、この人。なんで自分のことのように偉そうにしているの?
もしかして、彼も王太子殿下の信奉者?
「……なんでオマエが嬉しそうにしているんだよ」
思わず問いかけた。
「えっ! だ、だって……。そ、そうだ! 僕たちの未来の君主が褒められると嬉しいものだろう?」
やっぱり。彼も王太子殿下に傾倒しているのね。
それにしても、平民からも貴族からも慕われている王子、か。素晴らしいわね。この国は安泰ね。