再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「やっぱり具合悪かったんだな」
ハンドルを握りながら助手席にちらりと視線を送る。
「気付いてたんだ」
「当たり前だろ。ちなみに俺に隠し事をしているのも気付いてる」
「そっか。英介さんのことは騙せないね」
「警察官僚を騙そうとするなんていい度胸してるよ」
冗談めかしてそう言うと千晶がくすっと笑う。
今日初めて彼女の笑った顔を見た気がした。
「それで、俺になにを隠しているの?」
「あとで話す」
今は話してくれないらしい。それでも打ち明ける気にはなってくれたのだから大人しく待つことにした。
千晶に言われた通り駅前のコインパーキングに車を停めた。やはりそこから歩いて病院に行くらしい。
心配で俺も付き添おうと思ったが『今日はひとりで行く』と言われてしまったので車内で待つことにした。
千晶が車から降りたあと、彼女が言い残した言葉が引っ掛かった。
今日はひとりで行くという言い方は、次は一緒に来てもいいと聞こえる。
体調不良の原因を診てもらうため今日だけ病院に来たと思っていたが、通院の必要があるのだろうか。
そこまで体が悪いのか?
途端に心配になり、やはり俺も付きそうべきだったかと思い直す。
でも千晶がひとりで行くと言ったのだから彼女の気持ちを尊重したい気もする。