再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
一時間ほどで千晶が戻ってきた。
「お待たせ、英介さん」
助手席に乗り込んだ彼女は打って変わってすっきりとした表情を浮かべている。
「どこが悪かったの?」
診察結果が気になり尋ねると千晶はバッグの中からおもむろになにかを取り出した。
白黒の写真のようなものだ。彼女の手からそれを受け取った俺は一瞬頭の中が真っ白になった。
これはもしかして……。
「私、妊娠してるみたい」
千晶が落ち着いた口調で俺に伝える。
「今六週って言われた。予定日は――」
「千晶」
運転席から身を乗り出して、助手席に座る彼女の体を力いっぱい抱き締めた。
悪い病気だと思って心配した。でもまさか妊娠しているなんて。
「すごくうれしいよ。俺たちの子が千晶のお腹にいるんだな」
そう思うと彼女がよりいっそう愛しい。
最近様子がおかしかったのも体調が悪そうだったのもすべて妊娠によるものだったのか。
「すぐに言わなくてごめんなさい。病院でしっかりと診てもらってから英介さんに伝えようと思って」
千晶が俺を見上げる。
妊娠を知ってよろこぶ俺とは逆に、彼女の瞳はどこか不安げにゆらゆらと揺れていた。
「英介さん。産んでいいかな。私は産みたいんだけど」
まさかそんなことを不安に思っているのか? だったらそれは余計な心配だ。
俺は千晶の目を見つめてはっきりと伝える。